2020年8月4日のつぶやき

【副社長の杉川が綴るつぶやきブログ・・・第28回】
久々に、文章でのつぶやきです。
とある方から「つぶやき、更新しないんですか〜?」と、
軽いプレッシャーをいただきまして。(笑)


最近、とってもバタバタしてました。
なにでバタバタしてたかと言いますと、、、


イトバナシで予約型店舗をスタートしました!!(祝)

予約型店舗、、、そうか、コロナだからね!!

ということでもないんです。

今の経済活動は、必ず誰かが無理をすることが前提のようになっています。

例えば24時間のスーパーやコンビニ。
夜中から朝方のシフトは明らかに労働者の負担になっており、
最近は都会も地方も、特に深夜の働き手を探すのに苦労しており、
イトバナシの本社がある五條でもコンビニが閉じたりしていました。
深夜のシフトだけではありません。
お弁当などの長期保存が難しい食品を24時間提供するには
自ずとそれを作る工場も24時間体制となります。
私が住んでいる東広島でも夜9時ごろに食品加工工場のバスが
働く人たちを乗せて工場に向かうのをよく目にします。
ロボット化やAIの導入で現場はかなり効率化されているように思われますが、
それに比例するように大量生産&消費の文化が進み、
結果、負担は大きくなっているのだと思います。


これはスーパーやコンビニだけの話ではありません。
例えば身につけている洋服も、同じです。
人件費の安い国に大きな工場を建てて、税金が優遇されているうちにとにかく低コストで作りまくる。
人件費や税金が上がると次の国へと移っていく。
どこに負担が来ますか?

現場の労働者です。

新型コロナウイルスでも途上国のアパレル工場の閉鎖により
多くの労働者が仕事を失い、日々の生活もままならなくなっています。
振り回されるのは、いつも一番下流にいる、労働者や輸送業者です。

その上に成り立つ私たちの暮らしは、本当に豊かになっているでしょうか。
 
経済第一主義のこの大きな大きな流れは、簡単に変えることはできません。
 でも、もし変えるとするなら、どこから手をつけるといいのだろうと、
イトバナシではずっと考えています。
 
その結論のひとつが「売り方」でした。
売り方というのは、お客さまへの届け方です。
 
お客様の手に届くその瞬間の部分を変えることが
全体が変わる可能性が最も高いだろうと考えました。
 
 
今のモノづくりとモノ売りの関係は
ほとんどが「売り方に作り方を合わせる」となっています。

XX円で作りたいから原価はXX円で。
XXがターゲット層だからこんなデザインで。

売る側のニーズに合わせて、作る側が合わせます。

でも、刺繍は、元々は「売るもの」ではありませんでした。

母から娘への花嫁修行として、
地域の出来事を伝える手段として、
ボロボロになった布をはり合わせるときにせっかくなら可愛い方がいい、、、

といった具合に文化や伝統を背景に、暮らしの中にただある存在でした。

そのため、売り方に合わせると、必ず、失われるものがあるはずです。

売り方に合わせるということは、お金に換算するということ。
元々はお金に換算していなかったものをお金に換算すると、、、
そう、お金に換算できない部分の価値が失われてしまいます。
 
じゃー、刺繍はビジネスにしない方がいいんじゃないか?
全く、その通りです。
ビジネスにしなくて済むのなら、その方がいいのです。

でも、経済第一主義のこの世の中では、お金に換算できないもの価値が極端に低くなり、次々と、消えていってしまいます。

なので、お金に換算できない価値をつくる側も売る側も使う側もしっかりと認識して、
この経済社会の中に浸透させていくことが大切なんだと思います。

だから、売り方・届け方が大切なんです。

 
新しい届け方へのチャレンジのひとつが、予約型店舗、の運営です。

しかも、都心部や主要鉄道の沿線上などではなく、
多くの人にとっては「それどこ?」というような
いわゆる「どローカル」でのチャレンジです。

都心部でチャレンジしてしまうと、いやでも固定費が上がってしまい、
キャッシュが回らなくなるとすぐに撤退しないといけなくなります。
要するに、短期間に結果を出すために、かなりの無理を強いられることになります。

それが「普通」のやり方なのでしょうが、
私たちの望むところではありません。

今回の試みには時間が必要だと考えました。
時間がかかる刺繍の商品をお客様に届けるベストな方法を探すのだから
そこもゆっくりやっていこうよ、と。
 
なので、都心部でチャレンジするよりも
時間がゆっくり流れる地方部でチャレンジするのが
このプロジェクトは絶対にうまくいくと思いました。
 
その結果としての、奈良・五條と広島・志和でのチャレンジとなりました。
奈良・五條は、もともとオフィスとして借りていた古民家リノベ物件を、
イトバナシの田村が中心となりショップに変身させました。

広島・志和は、私 (杉川) が保全活動を行なっている茅葺民家の蔵の2階を
伊達や地域の学生らとともにリノベーションして
アトリエ (予約型店舗) としました。

 
イトバナシの新しいチャレンジです。
どうぞ気長に、そして一緒に、お楽しみいただければと思います。